仮面ライダー

「ギリザメスの悲劇」


 「ギリザメス」この怪人の名前を知っている人はあまり多くはないだろう。
仮面ライダー第67話「ショッカー首領出現!! ライダー危し」に登場したノコギリザメの改造人間である。
それなりにライダーを苦しめはしたものの、特に印象に残る怪人という訳ではない。
だがこのギリザメス、本来なら八本の指(?)に入る有名怪人になるはずだったのである。

 八本とは、狼男、イカデビル、ガラガランダ、ヒルカメレオン、カニレーザー、吸血マンモス、死人コウモリ、ザリガーナの、仮面ライダー第一期の大幹部が変身した八体の怪人のことである。
この八体のうち、死神博士が変身したのがイカデビルだ。
この話は最近では普通に語られるようになったが、初めて聞いた時は衝撃的だった。

 第68話「死神博士 恐怖の正体?」は本来第66話として放送を予定されていた。
だが「諸事情」により、主演の藤岡弘氏が出演できなくなり、第66話の撮影に入れなくなってしまった。
そこで打開策として、とりあえず本郷猛が出て来ない脚本で第66話と67話を制作することになった。
脚本はどうにかなったが、怪人は間に合わない。
そこで仕方なく、第66話では映画用新怪人カミキリキッドを、第67話では死神博士の正体怪人ギリザメスを使用することになった。

 カミキリキッドについては、映画用「新」怪人ではなくなったものの、映画用怪人という栄誉が失われることはなかった。
だがギリザメスは、誰の印象にも残らない一般怪人に転落してしまったのである。
彼の無念は如何ばかりか。

 ちなみにギリザメス用に製作されたのが「黄金ショッカーベルト」。
だがギリザメスが正体怪人ではなくなってしまったため、強化怪人用というコジツケ理由が生まれた。
コジツケといえば、死神博士が自らの正体にイカを採用したセンスを賞賛する意見があるが、上記の理由を知ってしまうと、何か空々しい気がしてならない。

 制作上の都合といえば、やはりハカイダーを連想せずにはいられない。
予算の都合で衣装を流用してハカイダー四人衆にされ、さらに新ヒーローのや新キャラの引き立て役にされて前作のライバルキャラとしての栄光は完全に崩壊した。
そういう例は他にもあるのかな。


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