ウルトラマンレオ

「セブンになれない!」


 ウルトラマンレオにおいて、マグマ星人と双子怪獣との戦いで傷ついたウルトラセブンは、変身能力を失ってしまった。
そのためにレオを戦士として鍛えるというドラマが展開していく。
ここで疑問なのは、怪獣との戦いで傷ついた程度で変身不能になるのかということと、セブンの場合、むしろモロボシ・ダンの方が変身した姿だということだ。
だから「変身できない」というより、「元に戻れない」と言った方が正確だ。
この点について考えてみたい。

 例えば仮面ライダーが変身する場合、風力エネルギーを蓄えて変身する。
これは人間体から、スーパーパワーを備えたライダーになるためである。
ところが、セブンの場合、逆に非力な人間に姿を変えなければならない。
そのためには、強烈なエネルギーを体から外しておく必要がある。
そのエネルギーが実体化したものが「ウルトラアイ」なのではないだろうか。
そう考えると、「セブンになれない」というのは、セブンが負った傷のため、ウルトラアイが拒絶反応を起こしてしまったと考えればいいのではないだろうか。
しかもその状態で変身を強行しようとしたため、ウルトラアイ自体も変質してしまったのである。
この点について、レオに覚悟させるためにセブン自らアルトラアイを破壊したという説もあるが、私はそうは思わない。
特訓に苦しむレオを見て、ウルトラアイを見つめて苦悩するダンの描写が何度かある。
自ら破壊したとなると、このシーンは「悔しさ」ではなく「後悔」ということになり、あまりにもマヌケなものになってしまう。

 そう考えると、解決するには2つのうちいずれかのことだと考えられる。
1つは、セブンの傷を完治させること。
もう1つはウルトラアイを現在のセブンの体調に合わせて改造することである。
この両者の相互関係が微妙で、ウルトラアイが修理できたとしても、変身が可能になるだけでセブンの足は治っていない。
M78星雲の医学をもってすれば治療は容易なことであると思われる。
したがって、変身後にM78星雲に帰る必要がある。
また、治療のためにM78星雲に帰るには、ダンの姿のままでは問題があるのではないかということも考えられる。
もっとも、こちらの場合は宇宙船に乗る等の方法もあるので、結局方法としては前者のみか、前者後者両方かという選択肢ということになる。

 今までのウルトラ戦士の場合、気軽に(?)M78星雲に帰り、治療を受けていた。
実際、ウルトラマンタロウが火山怪鳥バードンによって「殺された」時も、M78星雲で治療を受け、回復している。
ところがセブンの場合、この方法がとれない。
彼はMACの「隊長」なのだ。
今までのウルトラ戦士の場合、長期間地球を離れていても、話のわかる隊長(または副隊長)がうまく話をあわせてくれていた。
前述のバードンの際も、「行方不明」で済んでいる。
しかし、本人が隊長ではそうはいかない。
当然上からの追及がある。
下手をして免職にでもなれば、地球防衛という最も重要な任務が遂行できなくなる。
他に選択肢がなければ何とかしただろうが、幸か不幸かレオという存在があった。
この時点でM78星雲において深刻な人材不足があったと考えられる。
タロウの後、ベテランとも言えるセブンが地球防衛の任務にあたっていることからもそれが伺える。
だからこそ、レオに出会ったセブンは、彼をウルトラ戦士として育て上げることを考えたのではないだろうか。
ブラックスターによってMACが滅ぼされた後、ウルトラの母に救出されたセブンはM78星雲で療養に努め、復活を果たすのである。




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