「敵か?味方か?暗闇色の謎の青年」

出演者
イチロー・キカイダーゼロワン・・……池田駿介
マリ・ビジンダー・・・・・・・・・・・・・・…・・志穂美悦子
ビッグシャドウ・・・・・・・・・・・・・・………八名信夫
ハカイダー(声)・・・・・・・・・・・・・・・・・・…飯塚昭三
謎の青年(サブロー)・・・・・・・・・・・・・・…真山譲次
ナレーター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…岡部政明

荒野
歩くマリ。物音に気づき、姿を隠して辺りを窺う。そこでは、複数のシャドウマンとハカイダーが戦っていた。
マリ「なぜハカイダーとシャドウマンが・・・」

〜タイトルバック〜

シャドウ基地内
ザダムがビッグシャドウに対し、新要塞の説明をする。
ザダム「ミサイル、レーザー砲、そして最新鋭のレーダーも完備。この要塞が完成すれば、我がシャドウは地球のみならず全宇宙を支配することができます。」
ビッグシャドウ「だが、ゼロワンやビジンダーに嗅ぎつけられはしないだろうな。」
ザダム「心配はご無用。それに対しても、すでに手は打ってあります。」
ハカイダー「ゼロワンは俺が引きつけておく。アキラ達を人質にしようとすれば、ゼロワンやビジンダーは必ず助けにくるはずだ。」
ビッグシャドウ「よし、行け!必ず成功させるのだ!」

湖の畔
ミサオ・ヒロシ・アキラの三人が歩いている。
ヒロシ「姉貴、腹減ったよ〜。何か食べようぜ〜。」
ミサオ「何だい、口を開けば腹減った、腹減ったって。他に何か言うことはないのかい。」
ヒロシ「そんなこと言ったって、腹減ったもんは腹減ったんだからしょうがないだろ。」
辺りを見回してラーメンの屋台を見つけるアキラ。
アキラ「あっ、ラーメンだ。」
ヒロシ「姉貴、あそこで食べようぜ。」
ミサオ「もう、しょうがないな。」
屋台の暖簾をくぐり、ミサオが声をかける。
ミサオ「すいませーん、ラーメン三つ!
屋台の主人「いらっしゃい。」
しかし、屋台から顔を出したのはハカイダーであった。
ミサオ「ハ、ハカイダー!」
ハカイダー「シャドウの店へようこそ。君たちにはゼロワンを倒すための人質になってもらう。」
ミサオ「何だって!」
現れたシャドウマンに包囲される三人。たちまたのうちに捕らえられ、連行される。その時、どこからともなく口笛の音が聞こえてくる。
シャドウマン「どこだ!どこだ!」
ハカイダー「何だ、あの口笛は。」
一人のシャドウマンが突然爆発する。爆発のあった方向を見るハカイダー。前方を見直すと、正面から黒ずくめの青年が歩いてくる。
ハカイダー「貴様、何者だ。」
青年は無言のまま、シャドウマンと戦い始める。青年は圧倒的なパワーでシャドウマンを倒し、ハカイダーと対峙する。
ハカイダー「おのれ、小癪な。」
青年に襲いかかるハカイダー。しかし、青年にはまるで歯が立たない。
ハカイダー「くそ、覚えていろ!」
捨て台詞を残してハカイダーは去っていく。
青年に駆け寄る三人。
アキラ「ありがとう、お兄ちゃん。」
ミサオ「本当に、ありがとうございました。」
だが青年は冷静に答える。
青年「俺はただ、女子供に手出しするヤツが許せなかっただけだ。」
去ろうとする青年にミサオが声を掛ける。
ミサオ「あ、ちょっと待って!」
青年「俺は人を捜しているんでな。」
ヒロシ「どんな人を捜してるんだい?お礼に協力するよ。
青年「赤いギターを持っているヤツだ。黄色いサイドカーに乗っている。」
ヒロシ「赤いギターに黄色いサイドカー?それってジロー兄ちゃんのことじゃない?」
ヒロシの言葉に反応する青年。
青年「ジローを知っているのか?ヤツは今どこにいる?」
ヒロシ「どこって、いつも急に現れるからな〜。イチロー兄ちゃんなら知ってるんじゃないかな。」
青年「イチロー?」
アキラ「ジロー兄ちゃんの兄ちゃんだよ。
青年「ジローの兄・・・。」
ミサオ「バカだね。イチローさんだってどこにいるかわからないじゃないか。」
ヒロシ「あぁ〜、そうか〜。
青年「イチロー・・・。」
青年の顔アップ。

シャドウ基地内部
ビッグシャドウ「何たる様だハカイダー。ゼロワンならともかく、どこの誰とも知れぬヤツに邪魔されるとは。」
ハカイダー「お言葉ですが、いきなり出てこられたので油断しただけです。今度出てきたらゼロワン共々必ず始末してご覧にいれます。」
ビッグシャドウ「失敗すれば、始末されるのはお前の方だ。わかっているな。」

荒野
ダブルマシンを駆るイチロー。仕掛けられた地雷が爆発する。間一髪で逃れたイチローにシャドウマンが襲いかかる。次から次へと襲ってくるシャドウマンに、イチローも疲労の色を隠せない。
イチロー「くそ、一体どうなってるんだ。これじゃきりがないぞ。」
突然聞こえてくる口笛の音。口笛の主を探すイチローとシャドウマン。
その時、イチローの側にいたシャドウマンが突然爆発する。はっとするイチローの前に謎の青年が登場する。青年は何も言わずにシャドウマンと戦い始める。それを見たイチローも戦闘を再開し、シャドウマンはすべて倒す。イチローは青年に駆け寄る。
イチロー「ありがとう。君のおかげで助かったよ。」
青年に向かって右手を差し出すイチロー。しかし青年はそれを受けず、構えをとった。
青年「勘違いするな。俺がヤツらを倒したのは、お前との勝負の邪魔になるからだ。」
イチロー「なぜ戦わなければならない。」
青年「本来ならジローと決着をつけたいが、お前がジローの兄ならちょうどいい。」
イチロー(この男・・・まさか。いや、そんなはずは・・・。)
飛びかかる青年。拳を交える二人。
イチロー(強い。この男、今まで戦った誰よりも強い。)
警戒しながらポーズをとるイチロー。
イチロー「チェンジ・キカイダーゼロワン」
ゼロワンにチェンジするイチロー。それを見た青年は短剣を回して頭上に振り上げ、眼前に下ろそうとする。
そこへマリが現れる。
マリ「イチローさん、大変よ。ハカイダーがアキラ君たちを人質にして貴方を呼んでいるわ。」
イチロー「何だって。しまった、このシャドウマンは僕をここに引きつけるための罠だったのか。」
すぐに向かおうとするイチロー。たが、青年がそれを阻む。
青年「待て、俺との勝負が先だ。」
その青年をさらにマリが阻む。
マリ「イチローさん、行って。ハカイダーは地獄谷で貴方を待ってるわ。ここは私が。」
青年「退け。女を相手にする気はない。」
マリ「イチローさんと戦いたかったら、私を倒してからにしなさい。」
青年に攻めかかるマリ。しかし、マリの攻撃はすべて青年にかわされる。
マリ「チェンジ・ビジンダー!」
マリはビジンダーにチェンジして戦いを挑む。しかし、ビジンダーの攻撃もすべてかわされてしまう。
ビジンダー「ビジンダーレーザー」
ついに必殺技を放つビジンダー。大爆発がおこる。
ビジンダー「やった・・…。」
勝利を確信するビジンダー。しかし、次の瞬間、ビジンダーの顔が恐怖にゆがむ。ビジンダーの背中に銃が突きつけられていた。
青年(違う声)「これで勝負はあったな。死ね。」
死を覚悟するビジンダー。だが次の瞬間、前方に突き飛ばされ、マリの姿に戻るビジンダー。
振り返ると、青年が短剣をブーツに収めていた。
マリ「どうして、なぜ殺さないの?」
青年「女を相手にする気はないと言ったはずだ。これでもう邪魔はさせんぞ。」
去っていく青年を見つめるマリ。
マリ「あの声は・・・」

地獄谷
アキラたち三人を人質にしたハカイダーが、イチローが来るのを待っている。そこへダブルマシンを駆ってイチローが現れる。
ハカイダー「来たなゼロワン。」
イチロー「ハカイダー、三人を放せ。」
ハカイダー「放すかどうかはお前次第だ。」
イチロー「何だと!」
ハカイダー「動くな!一歩でも動けばヤツらの命はないぞ。」
無抵抗のイチローをいいように嬲るハカイダー。
ハカイダー「そろそろとどめを刺してやる。死ね。」
イチローにハカイダーショットを向けるハカイダー。まさに引き金を引こうとした瞬間、どこからともなく口笛の音が聞こえる。
ハカイダー「誰だ。この口笛は。どこにいる。」
突如爆発音が聞こえる。慌てて爆発のあった方向を見るハカイダー。そこでは青年がシャドウマンを撃退し、三人を解放しようとしていた。
ハカイダー「くそ、またしてもあいつか。」
イチロー「今だ。チェンジキカイダー・ゼロワン!」
ゼロワンにチェンジし、ハカイダーと戦い始めるイチロー。数回拳を交えると、ゼロワンはハカイダーに突進しようとする。
ゼロワン「行くぞ!ゼロワンドライバー!」
しかしその瞬間、ゼロワンの足下に短剣が突き刺さる。
青年「待て、お前の相手はこの俺だ。」
ゼロワンと戦いを挑もうとする青年。しかし、ハカイダーがその前に立ちふさがる。
ハカイダー「貴様、誰か知らんが、一度ならず二度までも邪魔しおって。貴様から先に片づけてやる。」
青年「無駄だ。」
青年に挑みかかるハカイダー。しかし、青年はハカイダーを軽くあしらう。再び襲いかかろうとするハカイダーに、青年は短剣を突きつける。
ハカイダー「おのれ〜。貴様、一体何者だ!正体を現せ!」
ハカイダーの問いかけに対し、青年は無言のまま短剣を回転させ、自らの顔面にかざした。まばゆい閃光と共に、青年の姿が変化していく。
ハカイダー「き、貴様?」
ゼロワン「あれは・・…。」
青年が変化した姿は、何とハカイダーであった。二人のハカイダーを前に、そこに居並ぶすべての者が呆然と立ちつくすのであった。
ナレーション「突然現れたもう一人のハカイダー。果たして、何者なのであろうか。そしてこのハカイダーは、ゼロワンにとって敵となるか味方となるか。」


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